第壱話 悲劇ずっと前に起きた『REDSTONE』をめぐる戦いから15年が経過した。その15年間の間に、世界は画期的な進歩を遂げた。 古都ブルンネンシュティグ、砂漠都市アリアン、神聖都市アウグスタの他に、港町シュトラセラト、新興王国ビガプールなど、新しく街などが作り出されていた。 …人々は、再び平和を取り戻したのだ。 古都ブルンネンシュティグ、第一居住区。 ある家の庭から騒がしい声と何かを振るような音が聞こえる。剣の練習だろうか? 「…違う!剣ってのは柄をちゃんと握って振るもんだろうが!」 「で、でも『バトルアックス』ってすごい重いんだよ?それに斧だから剣じゃ…」 「問答無用!さっさと続けろ!」 「ひぃ!」 武器の扱い方を教えている蒼髪の人物は、ヴァン・レグール。 15年前の激戦を見事生き残った人物だ。 そして、今しごかれているのは、ロン・レグール。 ヴァン・レグールの息子にあたる。 そして、ヴァンにロンがしごかれていると、家から女性の声が聞こえた。 「ふふふ、ヴァン、今日もロンの特訓?」 でてきたのは、ヴァンと同じく15年前の激戦を生き残った、ロレッタ・リールだった。 今は、ロレッタ・レグールと姓名を変えているが。 ロレッタに気付いたロンが、父親の地獄の特訓から逃れようと、声をかける。 「か、母さん助け…ゲ!」 向かうのよりも早く、ヴァンの手がロンの肩をがっしりとつかむ。 「待て、まだ今日の特訓は終わっちゃいねぇ」 「うええええええええええ!!!?」 そんな様子をクスクスと笑いながら、ロレッタが止めに入る。 「まぁまぁ、ヴァン、そろそろ夜ご飯だよ?」 そう聞き、ヴァンは腕につけていた時計を見る。 「ん、そんな時間か…じゃあ、今日はこのぐらいで切り上げるか。」 気付けば、あたりは暗くなってきていた。 新興王国ビガプール 北門 見張りの兵士達が、警備をサボって雑談をしている。 「まったく、警備なんてダルいよな?何にもきやしねーのに」 「ホントホント、やる理由がわかん…ねぇよ…な…?」 「ん?どうした?」 「おい、なんか飛んでくるぞ!」 「はぁ?鳥じゃねーのかよ、双眼鏡かしてみな」 双眼鏡を投げてよこすと、その兵士も双眼鏡で遠くを見る。 「…なんだあれは?人?竜?…どちらにしろ、警備長に報告を…」 そして、相方の兵士は通信機をとりだし、連絡を始めた。 ビガプールに向かっている謎の飛行物体。 それはあの龍人、スウォームだった。 彼は北門の兵士達の存在にすでに気付いている。 「…仲間ヲ呼ブツモリカ、面白イ…」 彼は大きく息を吸い込むと、口から黒炎が漏れ出す。 そして、それを一気に北門に向けて吐き出す。 吐き出された黒炎のブレスは、そのまま北門に命中し、北門の上部を破壊する。 炎上する北門を見ながら、スウォームはつぶやく。 「…終ワリダ、人間ドモ」 ジャンル別一覧
人気のクチコミテーマ
|